パイロット訓練の効率化

飛行操縦の訓練について、各個人の操縦技術を考慮した効率的な訓練手法を開発しています。土屋研のフライトシミュレータを用いて操縦技量を定量的に評価し、各個人に対して最適な訓練を行います。

着陸技量の向上のために、視覚情報の有効利用を支援するソフトウェアを開発し訓練における効果を検証しています。

また、熟練者の制御を模倣する手法として近年注目されている逆強化学習を用いて、熟練パイロットの操縦データを学習しAIパイロットモデルを構築し、初心者の操縦を適切にスコアリングし弱点を可視化する訓練支援機能の開発も行っています。

参考: PILODプロジェクト

ドローン操縦訓練の効率化

ドローンのレベル4飛行(有人地帯での目視外飛行)が可能になったとともに無人航空機操縦者技能証明制度が始まり、ドローン操縦士の国家資格化が開始されました。資格の取得の際には基本的に実地試験も課されるため操縦の技量が必要となります。そこで、シミュレータを用いて熟練者と初心者の操縦の違いを定量的に評価することで操縦訓練を効率化することを目指しています。

パイロットのワークロードの評価

新しい着陸手順や計器によって、パイロットのワークロードがどれほど減少しているかを、パイロットの脳波、視線、瞳孔の大きさ、そして心電図から定量的に評価します。「乱事故防止機体技術に関する警報評価技術の研究」プロジェクトとして、航空機前方の乱気流情報をライダー(light detection and ranging: LIDAR)を用いて計測し、その予測情報を用いて操縦を支援する「バブル」計器をJAXAと共同で開発しました。また、「曲線進入におけるパイロットの飛行軌道(制御技術)監視・意志決定・介入方法の要件に関する研究」もJAXAと共同で行いました。

参考:

ニューラルネットワークによる視覚情報を用いた操縦の解析

着陸時にパイロットが何を見て判断・操縦しているのかを,人間の脳機能を模擬したニューラルネットワークを用いて解析しました。特に接地前、パイロットは沈下速度を低減するために機首を引き起こす操縦(フレア)を行います。フレアは接地直前に行われるため、パイロットは計器情報を詳細に確認する余裕はなく、コックピットからの視覚情報(Visual Cue)を頼りに操作を行います。本研究室では視覚情報を用いた操作に着目し、Visual Cue の時刻歴をパイロットへの入力、操作履歴をパイロットの出力としたパイロットモデルを、実際の操縦データからニューラルネットワークを用いて構築しました。

参考: 研究成果報告書